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泣くくらい好き
四角で狭いバスタブいっぱいにお湯を溜めて昨日買ったばかりのハート型の入浴剤を落とす。 発砲する泡と共に広がる薔薇の花びらと香りにやっと身体に入っていた力が抜け冷静になれてきた。
「最悪だ…ぃや、最悪じゃないのかな?でも最悪の一歩手前くらいの気分な気がする」
前から間とタイミングの悪さでは定評のある内海ではあるけどまさかあんな場面に出くわすとは内海自身思わなかった。
(あ・湯川せんせいだ) いつものように事件の聞き込みを終えて一旦署に戻ろうと車を運転しているとよく見知った姿を見付け、丁度信号待ちになりそっちを見ていた。 ここは高級なレストランが多く立ち並ぶ通りで、いつもはシックな感じの居酒屋などが多い湯川には珍しいなぁと思ってなんとなく目が離せなかった。 あるレストランに湯川が入ろうとした時湯川の前方から小走りで近付いてくる女性がいた。
(あ…)
その女性は湯川に何か話しかけている。 そして湯川も微笑を浮かべている。
ブーーーーー!!!
いつの間にか信号が青に変わり後続車にクラクションを鳴らされ内海は慌てて車を発進させる。 ちらりと見たバックミラーにはもぅ二人の姿はなくなっていた。
チャプリ
顎くらいまで深く湯船に浸かり浮かぶ花びらをぼんやりと見続ける。
(横顔しか見てないけどスラリとした綺麗な人だったな…前に草薙さんから聞いた湯川せんせいの好みのタイプ全部に当てはまる…) (伝える前に玉砕とか…でも傷付く前に知れて良かったのかな…)
やっと築き上げた関係を壊すなんて出来ないから伝える気なんてなかったけど…
今後のためには今の"刑事と准教授"のままが一番良いんだ。 それに私、湯川せんせいの好みのタイプに全然当てはまらないし 相対性理論なんて一生理解出来ないと思うし
内海は自分に言い聞かせ納得していると徐々に視界が歪んでくる。 そのまま一筋が頬を伝い落ちるとボロボロと大粒になって零れ落ちていく。
苦しい。
呼吸が上手く出来ないし胸が締め付けられるように痛い。 こんなに泣けるのはいつ振りくらいだろうと内海は漏れそうになる嗚咽を堪えるように手で口元を覆う。
前から分かっていた事だし 今日改めて分かった事。
頭では納得出来ているのに心がキリキリと締め付けられる。 心が苦しくて痛い。
分かっているのに
なんでまだこんなに好きなんだろう。
ポロポロと零れ落ちる涙は乳白色の湯船に落ち消えていった。
(隠してきた一番伝えたい言葉なのに もぅ意味がないかな?)
******* 心が張り裂けそうって感じの内海。 恋する心は常に繊細です。
ユカーはどこぞの美人教授と社交辞令で食事って設定。 内海の十八番早とちり!! 早く誤解を解いてあげて!! ちなみに入浴剤はラッシュの「愛ラアブユー」っての 7つの薔薇の蕾入りなんだョ♪
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